数字で単純評価するのではなく、一手間かけて多面的に評価する
数字で単純評価するのではなく、一手間かけて多面的に評価する
評価の一手間を省くことで、難しい課題には一切手を出さない失敗を恐れ、できる範囲の仕事しかしない社員が増えてしまっては、元も子もありません。華麗な守備の裏には残念な失策があるように果敢な挑戦の裏には惜しい失敗が必ずあります。
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
基準が変わると、評価が一変するということがあります。
先日の日経新聞のスポーツ欄に「『エラーの西武』実は堅守」という記事が出ていました。
今季パリーグで最多失策を記録した西武ですが、大リーグでも使われている基準を基に守備力を評価すると、12球団で一番守備力が高いという評価になった模様です。
ポイントは、最多失策はエラーした数を単純に数えるのに対して、大リーグで使われている基準では、守備範囲の広さも考慮に入れて評価する点にあります。
守備の上手な選手は守備範囲も広く、ヒットになりそうな打球にも果敢に飛びついてアウトを取ったりします。
けれども、それであるがゆえに、球を取ろうとした際にエラーが生れる可能性も広がります。
一方、守備の下手な選手は守備範囲も狭く、取れるか取れないかというギリギリの打球は最初から諦めます。
このため、自分の守備範囲で一定のエラーを出すものの、ヒット性の打球については、そもそも取りに行かないので、エラーが出る可能性は低くなります。
つまり、野球の守備の質を高めるという点において
- 狭い守備範囲で守備が下手がゆえに必然的に生まれるエラー
- 広い守備範囲で守備が上手いのにやむを得ず生まれるエラー
とは区別する必要があります。
けれども、単純に失策数という基準で評価すると、両者は同じ一つのエラーとしてカウントされてしまいます。
これを会社の仕事に置き換えると、
- 簡単な仕事なのに、スキルや能力不足のために生まれる失敗
- 難しい仕事であり、スキルや能力があっても生まれる失敗
は、しっかり分けて評価する必要があります。
特に難しい課題に挑戦させて、上手くいかなかった時、評価の仕方を間違えると、多くの社員は失敗を恐れて、難しいことに挑戦しなくなります。
そして、そういう雰囲気が社内に広がってくると、自分のできる範囲の簡単な仕事しかやらない社員が増えて、会社としての品質が上がりません。
エラーの数や事務ミスの数など、単に発生した数の多い、少ないで評価するのは、評価する側も簡単です。
一方、エラーが出た時の球の飛んだ場所や事務ミスが発生した時の仕事の難易度などを勘案して評価することは、評価方法としてはより複雑になります。
しかし、評価の一手間を省くことで、
- 難しい課題には一切手を出さない
- 失敗を恐れ、できる範囲の仕事しかしない
社員が増えてしまっては、元も子もありません。
仕事の評価方法は一度決めたら、それで終わりということはけっしてありません。
そのためには、日頃から社員の行動をよく観察する必要があります。
華麗な守備の裏には残念な失策があるように、果敢な挑戦の裏には惜しい失敗がたくさんあります。
そういう意味では、惜しいし、本人も悔しい失敗と、注意して、大いに改めるべき失敗とを同一視してしまう評価方法こそ最大の失敗と言えるかもしれません。
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