銀行は晴れた日に傘を貸すのを前提として、会社を経営する
銀行は晴れた日に傘を貸すのを前提として、会社を経営する
銀行が「晴れの日に傘を貸して、雨の日に傘を返せ」と言うのは、経営者にとっては理不尽でも、銀行にとっては合理的な行動。それを踏まえた上で会社を経営しましょう。
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
最初に一つ質問です。
・1億円の売上高
・粗利率が2%
の取引の場合、
粗利=1億円×2%=200万円
です。
では、この取引を進めるにあたって、「必要なお金の9割は借入金で調達している」という場合、経営者であるあなたは担当者に対してどんな指示を出すでしょうか?
私なら、まずこう言います。
「その取引先は本当に大丈夫なのか?慎重にやれよ。」
以前、話題になったTVドラマ「半澤直樹」をご覧になった方から、
「実際にTVであったような理不尽な話が銀行では当たり前の様に行われているのでしょうか?」
というご質問をいただきました。
多くの会社が「銀行は理不尽だ」と思っていることの一つが
銀行は晴れの日に傘を貸して雨の日に傘を返せと言う
ということです。
ドラマの中でも同じようなセリフが何回か出ていました。
会社側からすると、
業況が厳しくて、お金が足りない時にはなかなかお金を貸してくれない
のに、
業況が順調で、お金が余っている時に「ぜひウチから借りて下さい」とセールスにくる
のは、いかにも理不尽です。
しかし、冒頭の質問に出てきたように
・利ざやが数%しかない
・必要なお金の大半を借入金でまかなっている
といった取引形態であった場合、
不良債権が発生すると、利益が吹っ飛んでしまうだけでなく、借入金も返せない
ということはご理解いただけるのではないでしょうか。
優良な銀行と言われるための一つの指標が自己資本率10%。
これを逆に考えると、優良な銀行であっても、9割は外部からの借金でお金を回しているということです。
銀行にとっての借金はその大半を我々の預金が占めます。
このため、一定の歩留まりがあるので、会社の借入金と違って毎月100万円ずつ返済しなければならないというものではありません。
けれども、預金者が「預けている100万円を今日使いたい」といった時には、100万円を預金者に返済さなければならない性質のものです。
このように考えると、理不尽と思われる銀行の行動も理にかなっています。
私は銀行の回し者ではありません(笑)。
けれども、銀行はお金を貸すのが商売とは言え、銀行からの借入に過度の期待をすることは危険です。
銀行は「信用」をベースに微妙なバランスの上に成り立っている一企業です。
いつ何時、社内事情が変わって、「資産を換金する=貸しているお金を回収する」事態になるかもしれません。
銀行は晴れの日に傘を貸して雨の日に傘を返せと言うのは銀行にとっては合理的であり、それを踏まえた上で会社を経営しましょう。
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