共存共栄の理念なき時代、中小企業も自らリスクコントロールする
共存共栄の理念なき時代、中小企業も自らリスクコントロールする
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
「クールな取引(transaction)ではなく、共存共栄理念による企業間の連携(alliance)が、製品の開発・改良・生産・販売の効率化やリスクの分担を可能にした。」
先週末、ランチェスター戦略学会の副会長である福田秀人先生からお話を聞く機会がありました。
冒頭で、
日本企業が、1970~80年代に、資金的にも技術的にも圧倒的に優勢な欧米企業と戦い、国内マーケットを守り、世界のマーケットを攻略できたのはなぜか?
の理由の一つとして、福田先生がご指摘されていたのが、
共存共栄理念による企業間の連携
でした。
下請け企業が作ったものはすべて発注元である大手企業が買い取ってくれるので、中小企業は安心してモノを作れたし、一方で、大手企業も単に価格だけを基準に発注先を選ぶのではなく、お互いに機密情報を開示して中小企業を育てながらモノを作るという風土がありました。
これが行きすぎると、いわゆる「ケイレツ」としてアメリカなどが批判した訳ですが、この共存共栄理念による企業間の連携が、日本の強みだったのは間違いありません。
しかし、今は
- 発注しても突然はしごを外す
- 仕入価格を徹底的に買いたたく
- 機密情報を勝手に使って自社で商品を開発する
といったように、共存共栄の理念はどこへやらと思える事象が少なくありません。
実際、私も前職のベンチャー企業の時に痛い目に会いました。
それだけ、大手企業にも余裕がないということの証拠かもしれません。
けれども、中小企業は
リスクの分担が難しくなった以上、自分でリスクコントロールする
ことが求められています。
中小企業は経営資源が限られているために、すべてのリスクを回避するのは難しいのが現実。
しかし、
- リスクの所在を明らかにする
- リスクを認識した上で対応するリスクに優先順位をつける
ことは可能です。
ぜひ、取引のリスクを定期的に見直すことは習慣づけて下さい。
ところで、私も中学校時代にやっていた柔道の基本精神は
精力善用 自他共栄
最近不祥事が続く日本柔道ですが、経済界のみならず、スポーツ界においても、共存共栄の理念が失われてしまったのかもしれませんね。
★下記のフォームにお名前とメールアドレスをご登録いただければ、最新発行分より「超キャッシュフロー経営通信」【UCF】をお送りさせていただきます。ぜひご登録下さい。