税金を資金繰りに織り込む
税金を資金繰りに織り込む
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
5億7,000万円 VS 5,200万円
どちらの数字を目指すでしょうか?
売上だったら、当然5億7,000万円がいいですよね。
でも、これが税金の数字だったらどうでしょうか。
もちろん、税金は少ない方が助かるので、5,200万円ですね。
昨日大阪地裁で、競馬の払戻金を一切申告しなかった元会社員の男に対する判決がありました。
日経新聞によると、払戻金の総額は30億1,000万円!そして、馬券の購入代は28億7,000万円!!
「よくもまあこんなにお金を使ったなあ」と感心してしまいますが、裁判の焦点の一つは、認められる経費の範囲。
検察側の主張は、勝ち馬券の購入代1億3,000万円のみが経費として認定されるというもの。
このため、この人の所得は、30億1,000万円-1億3,000万円=28億8,000万円になるので、5億7,000万円の脱税という訳です。
一方、弁護側は、外れ馬券も含めたすべての馬券代28億7,000万円が経費だと主張。
つまり、課税対象となる所得は、30億1,000万円-28億7,000万円=1億4,000万円になるというものです。
これをキャッシュフローの観点から考えると、検察側の主張は、手元には1億4,000万円しかないのに、5億7,000万円を払わなければならないという状態です。
会社の場合、普通の事業をやっている限り、課税対象となる所得が20倍以上もぶれることは実際には少ないと思います。
けれども、会計上利益は上がったけれど、税金を払うお金が足りないというのはよくある話です。
今の時期、3月決算の会社は決算作業の最後の追い込みでお忙しい頃。
「今度銀行から追加で借入したいので、なんとか黒字決算にしたい」「前年よりも増益の数字を残したい」という会社も多いかと思います。
けれども、決算の数字がだいたい見えてきてふと手元の預金残高を確認すると、「税金分が今月の見込みから抜けていた!」「思ったより税金がかかるので、月末残高がギリギリかも」というケースも少なくありません。
キャッシュフロー経営を定着させる中で難しい問題の一つが、
税金の数字を資金繰りにどう織り込むか
という点です。
決算の締めの段階になって初めて税額を計算するのではなく、
納税時期に払う税金の金額は、たとえ概算でも毎月きちんと見直す
ぐらいの備えが必要です。
ちなみに、先の裁判で、大阪地裁は、外れ馬券も含めたすべての馬券代を経費として認定しました。
税金をめぐる法律的解釈はいろいろと複雑ですが、今回の裁判官はキャッシュフロー経営に一定のご理解があったのかもしれません。
さて、今度の日曜日は第80回の日本ダービー。
経費として認められる馬券代はいくらぐらいになるのでしょうか。
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