リスクマネジメントの4つの切り口
リスクマネジメントの4つの切り口
リスクマネジメントとしては、一度は回避したリスクを今は受容できないか、受容しているリスクが想定を超えていないかを常に見直すことがポイントです。
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
「2時間かかりますけど、よろしいですか?」
後ろの壁には「首都高速渋滞中」の札。
出張帰りに空港バスのチケットカウンターに並んだ時のことです。
週末の金曜日。
道路も混んでいるので、一瞬どうしようかと迷いましたが、後は自宅に帰るだけだったので、「いいですよ。」と回答。
バスは4割ほどの乗車率で、20時15分に羽田第2空港を出発。
その後、新宿あたりで多少スピードは落ちたものの、バスは概ね順調に走行しました。
係りの人の予想は見事に外れ、21時15分ちょうどに調布駅北口に到着。
ほぼ予定通りの時間に帰宅できました。
自宅の最寄り駅である調布からは羽田空港までは直通の空港バスが
走っています。
早ければ45分、通常は1時間ぐらいで空港まで行けるので、たいへん便利。
実は今回、行きもバスで行こうと思っていたのですが、朝は首都高速&中央高速の渋滞が特に激しいので、最終的には電車&モノレールで空港に行きました。
万が一、バスが予定よりも大幅に遅れて、飛行機に乗り遅れるリスクを「回避」した訳です。
一方で、帰りは時間が遅くなっても特段何か支障が出る訳ではないので、時間がかかるというリスクを「受容」したことになります。
一般的にリスクに対する対応としては
- 回避
- 低減
- 共有
- 受容
の4つがあります。
リスクを「低減」する場合はバックアップシステムを作る、リスクを「共有」する場合は保険契約を締結するというようにお金や手間がかかります。
このため、経営資源が乏しい中小企業では
- (最初から)リスクを回避する
か
- (やむなく)リスクを受容する
ことが、実際には多いのではないでしょうか。
交通手段をどうするかは大した選択ではありませんが、
会社経営では、日々リスクを念頭に置きながら判断を迫られます。
先日も打ち合せの際に、今後の製造委託先をどうするかという話になりました。
現行の条件では200個単位でしか発注できないのですが、交渉の結果、多少価格を上げると50個単位で発注できる先が見つかったのです。
販売価格を上げないと、商品1個当りの利益は減ってしまうのですが、以前よりも、小ロットでタイムリーに発注できる点は、資金繰りの観点からはかなり魅力的です。
この場合、製造原価の値上がりに伴うリスクを受容することになりますが、何を受容し、何を回避すべきかは、会社によって異なりますし、同じ会社でも状況によって日々刻々と対応は変わってきます。
このため、リスクマネジメントとしては
- 一度は回避したリスクを今は受容できないか
- 受容しているリスクが想定を超えていないか
を常に見直すことがポイント。
その結果、トータル的なリスクの低減につながります。
ところで、先のチケットカウンターの対応。
「2時間かかる」というリスクを事前に告げることで、後から文句を言われるリスクを回避しようとしています。
もちろん、必要な情報はきちんと提供しなければなりませんが、あまりリスクばかり強調すると、お客さんが逃げてしまう恐れも・・・。
この当りのさじ加減、リスクマネジメントとしては難しいところですね。
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Tag: リスク管理 リスクマネジメント リスクコントロール