資金繰りを予測する際の盲点
資金繰りを予測する際の盲点
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
「5月の資金繰りが思ったよりもたいへんで・・・」
先日、あるクライアントさんを訪問した時のことです。
その会社は3月決算なので、消費税の支払期限は5月末まで。
11月に中間納税されているのですが、
その時の納付額は直前の課税期間(平成26年3月期)の確定消費税額の1/2です。
つまり、その時に計算根拠となった消費税率は値上げ前の5%。
しかし、実際には昨年4月に消費税が8%に引上げされたので、
中間納税で支払った消費税額よりもかなり増えるのは確実です。
通常、資金繰りを予測する際には、前年度の実績や今までのトレンドを基に
「おおよそこんなものかなぁ」
ということで計算します。
今回の消費税のケースで言えば、
前年度に支払った消費税の合計は200万円
↓
中間納税で支払った消費税は200万円×1/2=100万円
↓
今回も前年度並みの売上ならあと100万円ぐらい払えばOK
という見込を立てるのが普通です。
しかし、このケースでは
消費税が5%→8%に引上げされた
という特殊要因に加えて
中間納税で支払うのは前年度の確定消費税額の1/2
という制度上の要因もあるため、
今回も前年度並みの売上ならあと100万円ぐらい払えばOK
という予想がそもそも成り立ちません。
現在、クライアントさんは顧問税理士に依頼して
5月末までに支払う消費税の概算を出してもらい、
早めに資金手当てをするべく、銀行に融資の申込をされています。
資金繰りを予想する際に一番難しいのは売上の見込。
一方、支払の見込は売上に比べれば比較的予想が立てやすいのは事実。
でも、安易に過去の実績だけをベースに未来の数字を予想していると
状況の変化で生じている数字の変動を見落とします。
クライアントさんの場合は、期末を迎える前の段階で気がついたので、
早めに手を打てました。
でも、これが決算期末を過ぎた後だと、たとえ銀行に融資の申込をしたとしても、
「決算書が出てから再度検討しましょう」
と言われて、資金繰りのメドがつかず、ギリギリまで気を揉むことも・・・。
少なくとも、今後3ヵ月以内に見込まれる支払については
漏れや思い違いがないように気をつけましょう。
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