東京メトロの値下げ戦略
東京メトロの値下げ戦略
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
最近はやたらと「値上げ」の話が多いですが、
今月東京メトロが「値下げ」を発表しました。
東京メトロ線全線が乗り降り自由な東京メトロ一日乗車券。
現在は大人710円ですが、2月10日から600円に値下げになります。
この一日乗車券、都内でいくつか打合せがある日には便利なので、
私も時々利用しています。
今回の東京メトロの値下げ戦略を価格と数量の観点から分析してみましょう。
- 値下げによって一日乗車券1枚当たりの売上高は減る
- 値下げによって利用者数が増える
今のご時世、単純に値下げをしても利用者が増えるとは限りません。
でも、今回はかなり利用者数が増えるのではないかと想像しています。
現在東京メトロの最低運賃は170円。
このため、最低運賃の乗車区間を4回乗り降りする場合は
170円×4回=680円<710円なので、現在は個別に乗車券を買った方がお得です。
でも、今回の値下げで最低運賃の乗車区間だけ
4回乗り降りする時でも一日乗車券を買った方がお得になります。
このため、今まで一日乗車券を買わなかった短距離区間の利用者も
買う可能性が高いです。
また、一日乗車券を持っている人はできるだけその切符を有効活用しよう
とする心理が働きます。
つまり、目的地に向かうためにJRを始めとする他の代替交通機関があっても、
「今日はこの一日乗車券を使って東京メトロで行こう」とする訳です。
もちろん、1枚当たりの売上高が減ることに加え、
今までは個別に乗車券を買っていた人が一日乗車券に切り替えることによる
減収要因もあります。
けれども、結果的には利用者数が増える効果が大きいので、
価格↓×数量↑=売上高↑となる可能性が高いのではないでしょうか。
鉄道の場合は、乗客が1名であっても、満員電車であっても
運行にかかる費用は変わりません。
このため、できるだけたくさんのお客さんに利用してもらうことで、
売上高アップ、そして、利益アップにつながります。
600円という絶妙な価格設定で、この値下げ戦略は増収増益につながる
というのが私の仮説。
はたしてどうなるのか、今から結果が楽しみです。
さて、中小企業の場合、値下げは自分の首を絞める結果につながるので、
できるだけ避けるべきだと言われています。
つまり、価格を下げたところで、思ったほど数量は伸びないので、
価格↓×数量↑=売上高↓となる訳です。
もちろん、価格競争に巻き込まれる形での値下げは避けたいところです。
でも、価格設定次第では数量を増やせる可能性はゼロではありません。
特に今は石油関連を除けば、値上げのオンパレード。
値下げに対するインパクトは以前よりも増しています。
必要な利益を確保できる戦略的な値下げはできないか
検討してみる価値はあります。
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