貸出申請書の意見欄
貸出申請書の意見欄
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
私は都立高校の出身ですが、当時は入試の成績と内申書の評価の比重が半々と言われていました。
中学校の担任の先生が書く内申書。
国語や数学など学科の成績は期末毎に通信簿をもらうので、だいたい分かっています。
一方で、先生が「岩井君はこんな生徒です」と各生徒について、どんなふうに記載するのかは分かりません。
このため、中学生の時は「そんなことをしていると内申書に悪く書かれるぞ!」というのが、先生が使う常套句でした(笑)。
さて、前回、銀行員は融資の申込があった時、「貸出申請書」を作成するというお話をしました。
内申書ならぬこの「貸出申請書」にも「意見欄」という項目があり、以下のような意見を担当者が書きます。
1.A社は業歴5年のソフトウェア開発会社。
2.本件は経常運転資金20百万円の申込。
3.業界内での競争激化により利益率は必ずしも高くないが、業績はまずは順調に推移中。
4.B社からの受注が確定しており、返済面懸念なしと思料。
5.無担保での対応なるも、既往ピーク内の範囲内。
6. メインバンクとして本件対応致したい。
意見欄に書く内容は
1.会社の概要
2.資金使途
3.業況
4.返済
5.担保・保証
6.対応方針
です。
意見欄のスペースはさほど大きくありません。
このため、詳細については申請用箋や資金繰り表等の管理資料で補足説明します。
しかし、特に問題ない取引先や貸出金額が小さい案件などは、意見欄だけで審査が通る場合も少なくありません。
つまり、会社がいろいろ提出した資料や経営者が一所懸命説明した項目は、
1.どんな会社なのか?
2.借りたお金は何に使うのか?
3.業況はどうなのか?
4.借りたお金は返せるのか?
5.お金を返せなくなった時はどうするのか?
ということに集約されるのです。
いかがでしょうか?
銀行の融資審査というと「すごく高度で難しいことをやっているのでは」と思っておられたかもしれません。
しかし、実際の融資審査はごくごく常識的なことの繰り返しなのです。
内申書に先生が書く意見も、オール5の学科成績をあげる生徒については悪いことは書かないのと同じく、貸出申請書に銀行員が書く意見も決算書の数字が問題ない会社については悪いことは書かないのが普通です。
このため、突き詰めると銀行の融資審査を通すためには、収益改善に向けた日々の地道な活動が大事です。
ローマは一日にしてならずですね。
次回は、会社にとっては銀行との窓口になる支店の内情についてお話します。
ところで、私が銀行にいた時、貸出申請書の意見欄は手書きでした。
先ほど意見欄のスペースはさほど大きくないと書きましたが、私の書く字が下手になったのは小さなスペースに細かい字で意見を書くことを繰り返していたためです(苦笑)。
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