資金繰り表作成に当たっての注意点
資金繰り表作成に当たっての注意点
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
2+5=□
算数でよく見かける問題です。
答は7ですが、これがイギリスになると、
□+□=7
という具合に問題が出るそうです。
この場合、正解は一つではありません。
採点する先生の方はたいへんですが、イギリス式の方が広がりがありますね。
日本の場合、どうしても型にはめるのが好きです。
正解は一つだけで、それ以外は×。
大量生産、大量消費の時代はそれでも良かったかもしれません。
しかし、ニーズが多様化し、状況が刻々と変化する中、昨日までの正解だったことが、明日も正解だとは限りません。
そういう意味では、算数の問題の出し方一つから変えていく必要がありそうです。
さて、資金繰り表の話。
「資金繰り表は難しい」とおっしゃる経営者の話をよく聞いてみると、一つには、型にはめることの弊害が出ています。
資金繰り表のフォーマットや雛型はいろいろな本でも紹介されています。
また、銀行にはたいてい制定の資金繰り表があります。
これらを見ると、多少形式の違いはあるにせよ、たいがいパターンは一緒です。
売掛金回収
手形割引
支手決済
差引過不足
財務収支 etc.
といった項目が並んでいます。
特に経理の苦手な経営者がこれらの項目を見ると、「えっ、よく分からない・・・」となる訳です。
これは既存の資金繰り表が既存の経理をベースにしていることの弊害です。
しかし、資金繰り表の作り方は一つではありません。
私がクライアント先で資金繰り表の作成をお手伝いする際、心がけているのは
社長にとって分かりやすい資金繰り表
です。
あるクライアント先では、支払の項目について、取引先別にいくら支払うのかが分かる資金繰り表を作っています。
つまり、A社へ来月支払う50万円の勘定科目は何かということは無視。
単純に、A社には
今月:30万円、来月:50万円、再来月:25万円・・・
ということが分かる表にしているのです。
すると、勘のいい社長は「来月はちょっとA社への支払が多いなあ」と気づいたり、「A社へ支払う経費をあと1割減らせないだろうか」という思考が働いたりします。
つまり、申し上げたいことは
資金繰り表は社長が見て分かるように作る
ことが大切だということ。
形式的に型にはめた資金繰り表を作っても社長が理解できないのなら、経営には役立ちません。
資金繰り表の正解も一つではないということ。
私の経験からすると、お金の動きと直結しているため、決算書や試算表よりも資金繰り表は社長にとって理解しやすいものです。
既存の資金繰り表のフォーマットでは「ちょっと難しいなあ」と感じたら、まずは分かりやすい項目で作るのが、資金繰り表を有効活用するための第一歩です。
かのイチロー選手もオリックスに入団当初は「そんな打撃フォームではダメ」とコーチから注意されていました。
おそらくイチローにとっては、既存の型がしっくりこなかったのだと思われます。
しっくりくるか、こないか。
資金繰り表においても大切な感覚です。
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