自己破産の通知を受けて|キャッシュフロー経営実践講座

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自己破産の通知を受けて

自己破産の通知を受けて

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

自己破産と債権回収

先週ある弁護士事務所から「御通知書」が届きました。

差出人は、私が以前勤めていたベンチャー企業のA社長の代理人である弁護士。

今回A氏が破産申立をするに際し、債権者の債権額を確定するため
債権届出をお願いしたいという内容です。


私がA氏にお金を貸したのはまだベンチャー企業に勤めていた8年前のこと。

自分の心の中では既に償却済みの案件ですが、
実際にはまだ300万円ほど債権額が残っています。

A氏とはここ何年も連絡が取れない状況が続いており、
既に債権回収は諦めていました。


ただ、改めて

A氏は多額の債務を有しており、債権者各位に対する弁済をすることは
不可能な状況にあり、見るべき資産もない状況です

という文字に接すると、

「なんで、こんな人にお金を貸しちゃったのかなぁ」

という後悔の念がよぎります。


お金を貸した当時は取引先の理不尽な対応に非常に腹が立って

「A社長を支えてなんとか会社を立て直したい」

という思いが強くありました。


業績悪化の一因となった取引先の行動に対する怒りの気持ちが強くあったので、
私自身冷静さに欠けていた気がします。

感情が先走り、本来ならきちんとやるべき保全の確保も
やらないままお金を貸しました。


その後、A社長との亀裂がだんだん深まって会社を辞め、私は起業します。

退職の際、A社長は「お金は返すから」と一応約束してくれましたが、
貸したお金が戻ってくる気配は一向にありませんでした。


分割返済の期日になっても返済がないばかりか、
こちらから連絡しない限り一切連絡がありません。

そして、そのたびにこちらから連絡をを入れると、
屁理屈のオンパレードが続きます。


最終的にはこちらも弁護士を立てて訴訟を起こしました。

しかし、裁判中も

「お金は岩井が勝手に貸したものだ」

「借りたお金は給料として既に支払った」

といった事実と異なる暴言が続き、

「いい加減にしろっ!」

とこちらの怒りがメラメラと燃えさかるばかりです。


裁判には勝利し、自分の中で、

「やるべきことはやった」

といったん気持ちの整理はつけましたが、やはり

「なんで、こんな人にお金を貸しちゃったのかなぁ」

という思いが時々心をよぎっていました。


ちょうど3年前に、A氏の不動産売却にからみ、一部債権を回収することができました。

それ以来この債権のことはほとんど忘れていましたが、
先週届いた通知書でまた当時の思いが再び蘇ってきた次第です。


そして、今改めて思うのは、

経営者はお金と感情を切り離さなければいけない

ということです。


今回の私の不良債権も元をただせば、
私が怒りの感情に囚われて冷静さを失っていたことが一番の原因です。

また、いろいろと悩んだ挙句に最後は訴訟に踏み切りましたが、
もっとたんたんと早めに手を打っていればもっとお金を回収できた
かもしれません。

そして、お金が返ってこないことに対して後悔の念と憤りを感じて
いろいろと嫌な感情が湧きあがってくることは、
今の仕事に対してもけっしてプラスの影響を与えません


一方、今回自己破産するA氏自身も
債権額が膨らむにつれて自分で自分を見失ってしまったのだと思います。


私の知っている経営者の中には
多額の債務を抱えながら毎年債権者に現状の報告に行き、
毎回10,000円ずつ債務を返済している人もいます。


けれども、誰しもがその経営者のように

強い心を持ってお金と対峙できるとは限らない

のです。


むしろ、どちらと言えばA氏のように

お金に振り回されて最後は自己破産に追い込まれる

ケースの方が実際には多いのではないでしょうか。


心を鍛えるのはとっても難しいことです。

そして、誰だって「貧すれば鈍す」になる恐れはあります。


でも、

経営者がお金に感情が揺さぶられないようにする

のは早め早めに準備をしておけば必ずできます。


だからこそ、超キャッシュフロー経営では

口座残高に経営判断が影響されない経営

を目指します。

  • お金に不自由しない
  • お金が減っても動揺しない
  • お金が増えても浮つかない

健全な精神は健全な肉体に宿る

ではありませんが、

あくまでも弱い心を前提とし、会社を鍛えることで苦難を乗り切ります

ご意見、ご感想等を聞かせていただければたいへん嬉しく思います。


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