魅力的な事業計画は提出先によって違う
魅力的な事業計画は提出先によって違う
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
「こんな事業計画じゃダメだ!」
「全面的に数字を書き直せ!」
お金がなかなか集まらない事業計画に業をにやした社長から怒鳴られました。
9年前、ベンチャー企業で資金調達をやっていた時のことです。
まだ、売上が安定せず、商品開発に多くのお金がかかるステージだったので、銀行から融資を受けることは難しい状況でした。
このため、ベンチャーキャピタル(VC)を中心に投資家から出資してもらうことが喫緊の課題でした。
融資と違って出資の場合はお金を返済する必要はありません。
けれども、売上が少ない時期など、リスクの高い時期にお金を出すことになるので、投資家は銀行以上に成長に対する期待が大きいのです。
「来期は売上が5倍になります」という事業計画の場合、銀行は「本当に達成できるのですか?」と疑ってきます。
一方、投資家の中には「5倍になるなら面白そう」と興味を示してくれる人がいます。
このように、同じ事業計画であっても、ある人にとっては魅力的な計画であっても、他の人にとってはつまらない事業計画になるということがあります。
今銀行では、事業再生中の会社に対して、実抜計画、つまり、実現可能性の高い抜本的な経営再建計画の提出を求めています。
実抜計画の要件の一つが現実を踏まえた厳しい計画であるということ。
実抜計画の対象は事業再生中の会社ですが、銀行が一般の会社に対しても、現実を踏まえた厳しい計画を求めている点では同じです。
数字を作るという観点からすれば、1年間で5%売上がアップするという計画も、1年間で売上が5倍になるという計画も作れます。
けれども、もし事業計画の提出先が銀行である場合、売上が5倍になる事業計画が超えるべきハードルは、売上5%アップの事業計画よりかなり高いのです。
前職の時、私は都合7~8回は事業計画を書き直しました。
結果的に6ヵ月間かかりましたが、合計2億円お金を集めることができました。
それはそれで良かったのですが、そこには落とし穴があったのです。
そこで、次回は、事業計画で陥りやすい落し穴についてお話したいと思います。
ちなみに社長に怒鳴られて修正した事業計画。
今期の売上は前期の4.8倍として資金調達しました。
★下記のフォームにお名前とメールアドレスをご登録いただければ、最新発行分より「超キャッシュフロー経営通信」【UCF】をお送りさせていただきます。ぜひご登録下さい。