銀行交渉では通史的感覚の欠如に注意
銀行交渉では通史的感覚の欠如に注意
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
最近読み終えた本が
「逆説の日本史16江戸名君編」
作家の井沢元彦さんが執筆する逆説の日本史シリーズ。
歴史の教科書には出てこない見方が満載なので、文庫本が出るたびに購入しています。
江戸名君の一人として取り上げられているのが黄門様こと徳川光圀。
テレビドラマ「水戸黄門」では分からない徳川光圀の実態が詳しく書かれています。
ところで、この逆説の日本史シリーズを井沢さんが書くきっかけとなったのが、
日本歴史学の三大欠陥
です。
それは、
・史料至上主義
・呪術的側面の無視ないし軽視
・権威主義
そして、今回の16巻では先の三大欠陥に加えて、日本の歴史学にはもう二つほど欠陥があると書かれています。
その一つが、通史的感覚の欠如です。
井沢さんによると歴史=つながり、因果関係。
しかし、
現代の歴史学者というのは、室町時代なら室町時代、江戸時代なら江戸時代の専門家しかいないから、この「つながり」が分からない
と指摘されています。
実はこの
通史的感覚の有無は経営者が自社の業績を銀行に説明する際の重要なポイント
です。
経営者は長く会社のことを見ているので、
・なぜ前期は大幅赤字になったのか?
・三年後に増収が見込める理由は?
というのが分かっています。
しかし、銀行などが会社を分析する場合は
・あなたの会社も何万社という取引先の中の一社にすぎない
・担当者や課長、支店長も定期的に交替する
ために、どうしても通史的感覚が欠如してしまいます。
つまり、あなたの会社の交渉相手は、前期・今期・来期というせいぜい
三期分の専門家
なのです。
このため、特に設備資金や長期運転資金など、期間の長い借入金を借りる場合に、銀行員との間にある通史的感覚のギャップを埋めるというのがポイントです。
それには、歴史=つながり、因果関係であることを踏まえると、AだからB、BだからCというように、根拠をきちんと示して論理的に会社の業績をできるかが鍵を握っています。
ところで、江戸幕府最後の将軍となったのは、水戸徳川家出身の徳川慶喜。
その慶喜が鳥羽伏見の戦いの際、なぜ部下を置き去りにして大坂から江戸へ逃げたのか?
その因果関係の基は徳川家康の密命にあるというのが井沢さんの考えです。
詳しくは「逆説の日本史16江戸名君編」をお読みいただければと思います。
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