会社の簿外資産を徹底的に活かしてキャッシュポイントを増やす
会社の簿外資産を徹底的に活かしてキャッシュポイントを増やす
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
決算書に載っていない大切な資産
「今の決算書には会社にとって一番大切な資産である人が載っていない」
今はジャスダック市場で株式を公開している会社の創業者からお聞きした言葉です。
確かに貸借対照表や損益計算書を見ても、人に関することは、役員報酬、給与手当、法定福利費、福利厚生費、といった費用項目に関することばかり。
- ベテラン技術者の匠の技
- スーパー営業マンの顧客獲得術
- 正確かつ迅速な経理担当者の事務処理能力
といったことは、残念ながら決算書からは読み取れません。
昨今はなかなか売上が伸びないので、どうしても人件費等を削りがちです。
しかし、コストカットを図った結果、会社の貴重な簿外資産である優秀な人材やその人の持つノウハウまでが流出しまっては元も子もありません。
これら簿外資産である「人財」を会社の価値を考える上でどう評価するかは、会社経営にとっては永遠のテーマかもしれませんね。
一方、人の他にもビジネスモデルのキャッシュポイントを考える上で、
決算書だけでは読み取れないが、会社にとっては欠かせないもの
があります。
キャッシュポイントは通常、収入源と訳されますが、
キャッシュポイント=お金を稼げる接点
と定義すれば、なんとなくイメージが湧いてくるでしょうか。
「それ」は、もちろん質も大切です。
しかし、人に対する評価よりも、もう少し定量的に計ることが可能です。
キャッシュポイントとして欠かせない資産
みずほ銀行に勤めていた私が三井住友銀行に転職して、「今度は三井住友と取引して下さい」といきなりあなたの会社に訪ねていったら、あなたはどのように思われるでしょうか。
おそらく、「節操のないヤツだ」ということで出入り禁止になるかもしれませんね。
しかし、以前私がフィリピンで働いていた頃、地場の銀行では先のようなことがごく当たり前に行われていました。
日本と違って、ステップアップのために転職するのは当たり前。
大半の人は最低でも2、3回は転職しており、転職直後でも平気で以前の取引先に訪問し、「今度はウチと・・・」と依頼していました。
取引先の方も別にそれを嫌だとも思わず、中には、「アンタが担当してくれるなら」ということで、いきなり取引銀行を変えてしまうケースも。
アメリカの影響が大きいフィリピンではあくまでこの辺りの対応はドライ。
もしかすると、このような対応の方が世界基準なのかもしれません。
さて、ビジネスモデルのキャッシュポイントを考える上で、
決算書だけでは読み取れないが、会社にとっては欠かせないもの
は何かということですが、それは、顧客リストです。
この顧客リストには
- 既に取引先のある先
- 今後取引の見込める先
- 以前取引があったが、今は取引先がない先
を含みます。
このような顧客リストを何社持っているかで、その会社の価値が大きく変わってきます。
特に資料請求や問合せがあって、あなたの会社の商品やサービスに関心のある見込み客リストをどのくらい持っているかで、今後の事業展開が大きく異なってきます。
そして、この見込み客リストを豊富に持っている会社はほとんど例外なく資金繰りがうまく回っています。
道義的な問題は別にして、先の銀行員の例で言えば、みずほ銀行から三井住友銀行に転職した場合、みずほ銀行とは取引があるも、三井住友銀行とは取引がない会社のリストがたくさんあればあるほど、転職後も新規取引先の開拓がスムーズにいってすぐに成果を上げることも可能です。
あなたの会社では見込み客リストはどのくらいあるでしょうか?
なお、見込み客リストは数はもちろんその質が問われます。
やはり、見込み客との間に信頼関係を築けていないと最終的には取引に結びつきません。
フィリピンの場合でも「この人なら任せて安心」と思えるような人には、転職後も取引先がついていくという感じでした。
既存客リストを掘り下げる
今日はドリームジャンボ宝くじの発売最終日。
支店の宝くじの売れ行きが今一つだと、営業担当者にも、「宝くじをなんとかしろ!」と発破がかかったことを思い出します。
銀行の本業は、もちろん貸出金を増やす、預金を増やすということですが、それ以外にも様々な目標がありました。
・クレジットカード
・カードローン
・電気、水道、ガスなどの公共料金の口座振替
・給与振込の指定口座
・ファームバンキングの導入
といったように個人や法人に関する細かいノルマが半年毎に決まっていたのです。
毎週、週間予定表なるものを書かされて、「今週はどの取引先に行って何を獲得するか」という計画を立てます。
そして、毎朝日報を出して、「昨日はA社でカードローンを5件獲得」といった報告をしていました。
さて、見込み客の中の一つである既存客リスト。
銀行員時代で言えば、先ほどのようないろいろな目標を達成するには既存客リストが鍵を握っていました。
毎年新入社員が入ってくる会社を取引先に持っていると、「今期はB社で15人ぐらい給与振込口座を取れそうだ」というメドが立ちます。
そこで、取引先に訪問した際には資金需要について聞くのはもちろんのことですが、
会社に関する様々な情報をいかに引出すか
という日頃の活動がポイントになるのです。
この点、売上が伸び悩んでいる会社の場合、せっかく取引先を訪問しても、自社の商品やサービスに関する話だけで終わっていることが少なくありません。
先日も、訪問した先で4,000社以上の既存顧客リストがあるのに、自社の単品サービスしか売り込んでいないというなんとももったいない事例がありました。
既存顧客リストは宝の山
宝くじで一攫千金を狙うより、より堅実かつ確実な対象先です。
もっとも、相手が銀行の場合は、取引先も比較的ざっくばらんに情報を開示してくれますが、一中小企業に対しては、取引先もなかなか社内情報を教えてくれません。
銀行の営業と一中小企業の営業の違いは日々痛感しています。
人にせよ、顧客リストにせよ、活かすも殺すも会社次第
会社を比べる時に、主に指標となるのは、売上高だったり、資本金の金額だったりと、たいていは決算書に載っている数字です。
しかし、会社の実力は数字だけでは計れません。
決算書については最低でも年1回は見直す機会があります。
一方で、簿外資産は経営者が意識していないと埋もれたままになっていることがあります。
簿外資産を定期的に見直して、簿外資産の量と質をアップさせましょう。
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