記憶に頼らず、記録に頼る
記憶に頼らず、記録に頼る
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
原発関連の会議で議事録のなかったことが話題になっていますが、私が最初に「議事録」なるものを意識したのは今から20年近く前のことです。
当時の仕事の一つが、取締役会の事務局。
そして、先輩社員の方にいろいろ教えてもらいながらやっていたのが、取締役会議事録の作成です。
もっとも、議事録の大半は優秀な女性社員の方が作成。
一番下っ端だった私の主な役目は、最終的な出席役員の名前と人数、取締役会の開始時間と終了時間を彼女に報告することだったのですが・・・。
それでも、なんとかなったのは、当時の取締役会が議長の議事進行に従ってたんたんと行われていたという背景があります。
事務局は、取締役会が開かれている間、別室で会議の様子をモニタリングしているのですが、
各議案ごとに担当役員が説明
↓
全員が「異議なし」で可決
というプロセスが続きます。
当時はまだ社外取締役もおらず、議案に対する質疑応答はなし。
このため、議案の内容と要件さえ、きちんと事前にチェックしていれば、議事録は法律的な条件を整えれば問題なく作成できたのです。
いわば、形式面の問題であったと言えます。
しかし、議事録で大切なのは
- どういうプロセスを経てその結論を出すに至ったか?
- 各議案の問題点を出席者はどこまで把握していたのか?
- 賛成意見や反対意見の根拠は?
といった、実質的な問題です。
この点、中小企業の場合、議事録をきちんと取ること自体非常に少ないと言えます。
そして、たまに議事録を作る場合でも、取締役の変更や定款の変更など登記等に必要な形式的な問題である場合が大半です。
しかし、後から活かせるのは、結論に至るプロセスの部分。
そして、この実質的な問題のところは記録をとっていないと、「あれって、どうだったんだっけ・・・」とついつい忘れがちです。
記憶に頼らず、記録に頼る
まずは、どんな様式であれ、記録を取ることが最初の一歩です。
ところで、議事録作成に関する参考書などを読むと、大抵の場合、
「○○取締役より、第1号議案について、その理由および経過を述べて、詳細な説明があり、質疑応答がなされた後、本議案について・・・」という当たり障りのない表現になっています。
この点、各議案の内容については、会議で使った配布資料があるので、特に問題はありませんが、後から役立つのは、質疑応答の具体的な内容です。
これについては、
- 誰がどういう質問を行ったか
それに対して、
- 誰がどのように回答したか
を、箇条書きでも、話調でも、形にこだわらずに記録に残すことが大事。
議事録は将来に活かしてこそ、本来の役目を発揮するもの。
単に保身や言い訳のためでなく、未来に対する会社の財産として活用できるよう工夫したいですね。
★下記のフォームにお名前とメールアドレスをご登録いただければ、最新発行分より「超キャッシュフロー経営通信」【UCF】をお送りさせていただきます。ぜひご登録下さい。