中小企業はローカル線に学ぶ
中小企業はローカル線に学ぶ
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
平成4年に「のぞみ」とともに登場した新幹線300系。
来年3月に引退するとの報道がありました。
当時は颯爽とデビューした車両も最近では、もっぱら各駅停車の「こだま」での運用が中心。
一時ほどの華やかさはありませんが、約20年での引退はちょっと早い気もします。
老朽化と言っても、おそらくメンテナンスをきちんと続けていれば、300系もまだ走れるはず。
しかし、新型車両の導入や高速化が進む新幹線では、20年での引退もやむをえないのかもしれません。
一方で、地方に行くとローカル線では、私と同年代ぐらいの列車もまだまだ元気に走っています。
何回か外装や内装の改造は行われているものの、車両の製造年月を見ると、昭和30年代から40年代にかけて作られた列車も。
東海道新幹線で言えば、0系→100系→300系と世代交代があり、その3代目が引退時期を迎えています。
これに対し、ローカル線では初代の社長が若者に負けじと現役で頑張っている感じでしょうか。
もちろん、新幹線とは走行距離やスピードがまったく違うので、単純な比較はできません。
しかし、たまに古い車両に乗ると、ある種のたくましさやしぶとさを感じます。
いわゆるグローバルスタンダードが声高に叫ばれた頃は、「皆、新幹線の規格で走りましょう!」と言われていたようなものです。
このため、本来は最高時速100kmしか走れない車両に対しても、「300km出さないと、世界に時流に乗り遅れる・・・」と無理な運行(経営)を強いていたところがあります。
時速300kmで安全に走るには、車両の性能はもちろん、信号や列車の運行管理など様々な設備やノウハウが備わって初めて可能になります。
そして、これらの設備やシステムを維持し、技術革新を続けていくためには、毎年多額の設備投資が必要です。
他人が右にならえをしている時に、1人だけ左を向くのは勇気が要ります。
けれども、自社の経営資源、実力を冷静に判断して
ニッチな分野で欠かせない存在になる
ことも経営戦略上は大切な視点。
ローカル線で頑張る古い車両のように、細く長く生き延びるのは、大企業ではなかなかできない選択です。
ところで、列車を長く走らせるには、鉄道会社のメンテナンスはもちろん、乗客のマナーも肝心です。
私が駐在していた時、フィリピンにも日本から昔特急列車として活躍した車両が寄贈されました。
最初に登場したときは、こぎれいな感じだったのですが、運行開始して半年もすると・・・。
廃車になって解体されるのか、乱暴に扱われても新しい職場で現役を続けるのか。
鉄道車両の運命も悲喜こもごもです。
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