会社経営では勘定科目より時間管理
会社経営では勘定科目より時間管理
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
前回、
決算書や試算表には時間と数量という要素が欠けている
と申し上げたところ、ある読者の方から、「ワン・イアー・ルールがあるのでは?」というご指摘を受けました。
たしかに、決算書などは、1年以内かどうかという基準に基づいて、
・流動資産、固定資産
・流動負債、固定負債
と分類しています。
しかし、1年以内かどうかというのはかなり大雑把な時間の観念です。
11年ほど前まで、私は南国フィリピンに駐在していました。
その時、あちらに駐在する日本人の間でよく言われていたのが、いわゆるフィリピンタイムです。
例えば「今日の午後1時から会議です!」という時、1時に全員が揃うことはまずありません。
極端な話、あちらでは、1時00分から1時59分までが1時の範囲(笑)。
10分、15分ぐらいの遅れは「ネバー マインド(気にしない)!」の一言であっさり片付けられてしまいます。
駐在している約4年間に、地元の銀行の会議にも何回か参加しましたが、定刻通りに始まることはほとんどありませんでした。
さて、決算書の話に戻って考えてみると、決算書では、
9月末に入金予定の売掛金500万円
と
12末に入金予定の売掛金500万円
は同じ、売掛金:500万円です。
しかし、資金繰りで考えた場合、両者には大きな開きがあります。
つまり、決算書では細かく勘定科目を分類して記載している一方で、時間に関してはわりとルーズであることが分かります。
そもそも使う目的が違うので、だから決算書は役立たないということにはなりません。
しかし、日々の資金繰りでは
- いつ入金になるのか
- いつまでに支払うのか
というのはかなり大切なポイントです。
同じ9月の入金であっても、
9月20日に入金予定分は9月30日の支払に使える
けれども、
9月30日に入金予定分は9月30日の支払としてあてにできるかどうかは微妙
です。
この違い、日本とフィリピンの時間感覚のズレ以上に深刻な問題です。
会社を経営していく観点からは、
勘定科目の分類はざっくりであっても、入出金の時間管理はより繊細にやる
必要があります。
私が、
決算書や試算表には「時間」という要素が欠けている
と申し上げたのは、まさにこの主旨をお伝えしたかったのです。
次回は「数量」についてお話したいと思います。
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